住職レター 2018年9月

<住職レター 2018年9月>

西日本豪雨災害から、約ひと月半。復興復旧が急ピッチで進む中、被災したある方から、お話を伺っていますと、「あの時のまま時間が止まっている…」と。壊れた物は修復すれば良いですが、思い出の物や心の傷は、時間の経過と共に癒されるものではありません。
お墓に土砂が流入し、墓石から遺骨まで全て流された方が、テレビのインタビューで、辛い思い先の見えない徒労感を話されていました。何もして上げることが出来ない申し訳なさと、お気持ちを吐露されている方の心情を思うと、ただただ心が痛くなりました。
お盆に、善教寺本堂へお参りに来られた、地元のある会社経営者の方は、会社敷地内に流入した土砂を撤去するため、会社の営業を全て止め、従業員総出で土砂の撤去作業を毎日されているとのこと。事務職の女性スタッフから調理場のコックさんまで総動員だそうです。この会社経営者の方から、豪雨災害直後の、敷地内に流入した土砂現場を見た時の思いを聞かせてもらいましたが、お聞きするだけで目頭が熱くなり、手を差し伸べることが出来ない無力感にさいなまれました。
被災された方々の心が癒されるのは、かなりの年月を要すると思います。皆さまの安穏なる生活が戻りますこと、心よりお祈り致します。

善教寺本堂北側の庭園