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1月 |
年末を迎え、慌ただしくされていることでしょう。大掃除、年末の挨拶周り、年賀状の作成。そして私には、最後に大仕事があります。除夜会法要の読経と、除夜の鐘つき。除夜の鐘は、大晦日の深夜0時をはさんでつく鐘のこと。ちょうど日付けが変わり、新しい年になる時を鐘をつきながら迎えます。
人には百八つの煩悩があると言われ、その煩悩を滅するために、除夜の鐘を百八回つきます。煩悩とは、人の心を惑わせたり、悩ませ苦しめたりする心のはたらきのこと。代表的な煩悩は、一.欲望、二.怒り、三.執着、四.猜疑。
なぜ煩悩の数は百八つとされているのかは、諸説あります。百八という数が、『沢山』という意味だというのが、一般的でしょうか。
私がなるほどと思った説は、人間が持つ欲望や心の汚れは、六つの感覚器官(眼・耳・舌・鼻・身・意)からもたらされ、それらが感じとる感覚からくる三十六個の煩悩に、前世、今世、来世の三つの時間軸をかけて、百八つあるという考え方。ようするに、私たちの煩悩は、たくさんあって、際限ないといことでしょう。
あまり知られていませんが、梵鐘の鐘の回り(上部)に突起があります。これは「乳(ち)」と言われるもの。この「乳」の数も百八つあります。
古より、梵鐘の鐘の音そのものには、苦しみや悩みを断ち切る力が宿っていると考えられてきました。梵鐘の澄んだ音は、深夜の空気と相まって心にしみわたり、私たちの魂が共鳴するような気持ちにさえなります。
除夜の鐘、つきに来て下さいね。
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