張掖は、かつてシルクロード交易の中枢都市として栄えた。河西回廊の東西のメインルートはいうまでもなく、祁連山脈を越えて青海省へ行くルートとの交差点となっていた。
そのため『東方見聞録』を書いたマルコ・ポーロも、フビライ・ハンに謁見するまでの一年間を、ここ張掖で過ごしていたとのこと。
出発を昼に控え、朝食後すぐに大仏寺へ行って来た。ここは約900年前に創建された、釈迦涅槃像で有名なお寺である。
釈迦涅槃像は、間口約50メートル、奥行き約25メートル、高さ約20メートルの大仏殿の中に、体長34.5メートル、肩幅7.5メートルという巨大お釈迦様が横たわり、それを囲んで背後に十大弟子、両脇に十八羅漢と、計28体の塑像(そぞう)があった。現存する建築物は大仏殿、蔵経閣、土塔の三つである。




この釈迦涅槃像、近くで見ると余りの巨大さで何とも異様な光景であったが、どことなく表情に愛嬌があり、西洋的でエキゾチックな雰囲気が漂っていた。この釈迦涅槃像をデジカメに撮って見てもらいたかったが、あいにく撮影禁止であった。
昼過ぎには次の都市・酒泉に向けて出発である。張掖駅への足取りが重くなるほど、気持ちまで重かった。なんせ、列車のチケットが、普通座席の硬座である。私が堪え性がないのか、さすがに、もう硬座には耐えられそうになかった。
それで昨日から一計を案じ、「我要一張軟座票。票价是多少銭」というプラカードならぬ紙切れを作っておいた。「軟座のチケットを買いたい!」という意思表示のカードである。これを、軟座専用の車掌に見せることにした。
≪追記≫当時の探訪記には、釈迦涅槃像は撮影禁止と書いていたが、実は隠し撮りした写真があった。不鮮明であるが、25年経ち、時効だと判断し、今月の寺報に掲載した。




→ 【4月29日】横たわった、巨大なお釈迦様〈張掖~酒泉〉午後

