【2000年4月27日午前 】この地で憧れの高僧に出会う〈武威〉

今日の旅は長く感じた。蘭州駅を22時発、翌朝7時に武威駅着。確かに9時間弱の長旅である。だがそれ以上に長く感じた。十分眠れなかったのである。
 旅行ガイドブックに、蘭州から一路北北西へ、海抜2700メートルの鳥鞘嶺を超えて河西回廊に入り、ここ武威に至ると書かれていた。ある程度の寒さは予想していたが、思った以上であった。
 寝台車両の四人用個室に、私の横には60歳くらいの年配者。何故か日本語で私の顔を見ては「にっぽん、にっぽん」と何回も嬉しそうに言ってきた。早く眠りにつきたかったのだが、私の持っていたガイドブックと会話集を取り上げて、楽しそうに見ていたので、返して欲しいと言えなかった。
 私の上には、歯軋りのひどり女性。斜め上には、おそらく40歳くらいだろうか、ビジネスマンらしく洒落たスーツを着ており、寝る前にそれらを全部脱いで、カバンからパジャマを出し、着替えていた。

武威駅に到着
武威の街並み
武威のホテル

様々な人がいると思いつつ、隣の人から大事なガイドブックと会話集を返してもらい、ようやく寝付けると思ったら、とんでもない。斜め上の男性のイビキの凄いこと。「グー、グー」なんてもんじゃなく、「ガーゴオー・グワーゴー」と、今までに聞いた事がない騒音であった。また上の女性の歯軋り、これもハーモニーを奏でると言えば聞こえはいいのだが、「まーあんた、いくらストレスが溜まってるからって、そこまで歯を食い縛らんでもー」と、腹立たしさを通り越して呆れる思いであった。
 それから隣の年配者。おとなしく寝てるのかと思ったら、ブーッとおならである。五分に一回くらいは、おならをしていた。
 それから、何度トイレに行ったことやら。この寒さで、持っていたブルゾンを着て、支給された毛布を二枚掛けて、それでもまだ寒い。
 この鉄道での移動は生涯忘れないでしょう。

朝から屋台で餃子を食べる
武威の屋台で朝食
武威の屋台で朝食

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