今朝は十時過ぎに起床した。ホテルで朝食をとり(注文をしなくて済むから楽である)、午前中に観光しようと思うも、全て出来なかった。お陰で昨夜の疲れが取れた気がする。
こんな田舎町の天水に、なぜ来たかと言うと、ここは中国四大石窟の一つ、麦積山石窟があるから。麦積山という山に、後秦(西暦384年~417年)から清(西暦1616年~1912年)まで十数代の王朝にわたって、蜂の巣状に作られた仏教石窟である。
五世紀初めの開窟以来、最盛期には石窟数が千を超えたという説もある。麦わらを積み重ねた形に似た、高さ142メートルの山に現存する194の石窟には、七千体を超える仏像や石刻像、1300平方メートルにもおよぶ仏教壁画が残されている。なんと16メートルの巨大な阿弥陀仏から、10センチの可愛い人物像まであった。
事前に観光ガイドブックで見るのと、実際に行って断崖絶壁の階段を上り下りして、間近で見るのとでは大違いだった。天水市内のホテルからタクシーで1時間半、距離にして約45キロ。舗装されてない道を、ただひたすら砂埃をあげてタクシーは進んだ。おそらくもう来る機会はないと思う。自分の目で実際に見た光景を、心に焼き付けておいた。また一つ、心の中に宝物が出来た気がする。



さらに道なき道を10キロほど行き、仙人崖へ。古来より仙人が出没する場所として有名なところで、幅約70メートル深さ8メートルの岩穴に、明代に創建された蓮花寺がある。
確かにこんな山奥には、仙人くらいしか来ないだろうと思えるところであった。タクシーの運転手が、「車で行けるのは、ここまでだから、一人で行って来い」と言った。どれくらい歩くのか?と聞くと、変な笑顔を作って近い近いと返答。一瞬、行くのを止めておこうかと思った。そしてその予感は正しかった。
仙人崖の山の入口まで歩いて30分。そこから山道をなんと1時間。まるで登山だ、こんな筈ではなかったと思いながら、やっと到着した。それにしても、こんなところに、どうやって建てたのか。それも重機など無い、数百年も前に。
帰り道もやはり1時間半、タクシーに戻った時には疲労困憊であった。
ホテルに帰り、もう次の都市に出発の準備をする。荷物の整理等は慣れたものである。少し前には、気持ちに余裕がなかったのだが、ここ数日で、随分図太くなった。
今夜23時発の寝台列車で蘭州まで行く。到着は翌朝7時頃の予定。今日の歩き疲れで、しっかり睡眠がとれて気付くと朝を迎えているであろう。蘭州は比較的都会らしいので、インターネット接続は、恐らく問題ないと思う。



蘭州のバス〈蘭州〉
