昨夜は、かなり気持ちが落ち込んでいた。鉄道チケットは手に入らない、言葉は通じない、頼る人もいない。そのせいか、食欲も無く。でも気持ちを奮い立たせて、夕食を食べに、ホテル近くの中華食堂に行った。すると観光で一緒だったオーストラリア人の家族がいて、「カモン!」と同じテーブルに招き入れてくれた。一緒に食事をしながら様々な話をした。40歳のフランクと奥さんのクリスティーナ、14歳の息子のフランクリン。北京・西安・桂林・香港と6週間の旅行中とのこと。私も自己紹介し、これからシルクロードを西に行く予定だと話した。中華食堂で私の表情が冴えないのを、フランクが感じ取ってくれたのでしょう。それはもう涙が溢れるくらい、心温まるひと時だった。
昨夜の良い出来事で目覚めも良く、朝一番で、鉄道の時刻表を貰うためホテルのフロントに行った。すると今日は、日本人の女性スタッフが応対してくれた。鉄道のチケットを買いたいと話したら、なんと駅まで一緒に行ってくれた。ようやく2日かけて、鉄道のチケットを手に入れることが出来た。しかし『軟座』という観光客が移動する座席は売り切れ。入手できたのは『硬座』という地元の人が使う座席。何はともあれ、手に入っただけ有り難いこと。わざわざ付き合ってくれたホテルのスタッフの方には、コーヒーをご馳走し、メールアドレスを交換して「旅の途中トラブルにあったら、SOSメールをしますね」と別れた。
鉄道のチケットが手に入ったので気分が楽になり、昼からタクシーで、西安の南にある興教寺と香積寺に行った。
興教寺は玄奘三蔵の遺骨が埋葬されていることで有名な寺院。高さ23メートル、五階建ての正方形の唐三蔵塔の中に遺骨が納められている。(中を見たかったけれど無理だった)。境内では修行僧を何人か見かけ、いたるところでお香が焚いてあっていい香りがした。
香積寺は、七高僧の善導大師で有名な寺院。浄土宗発祥の地として知られている。「南無阿弥陀仏」のお名号を境内のあちこちで目にし、祖師方を偲ぶことが出来た。
夕方ホテルに帰って来て、西安最後の夜を過ごした。
いよいよ、明日からシルクロード仏教遺跡を探訪する旅が始まる。果たして、生きて帰って来られるか。
【4月19日】無事、宝鶏着〈西安~宝鶏〉