【2000年5月4日 午前】絶望感を味わう〈ハミ(哈密)〉

  朝食後、中国銀行(日本円の現金とトラベラーズ・チェックを両替可能な唯一の銀行)へ行くと閉まっていた。銀行の入口に、『5月7日まで休み』と、大きな張り紙に書かれてあった。ただ呆然として、数分くらいそれを見ていた。何かの間違いであって欲しいと、気が抜けたように立ち尽くして、何度も確認したので、やはり間違いなかったのであろう。
 お金がないと、次の都市には行けない。歩いて行けるわけもなし。冷静になって、手元の現金を数えると、明後日くらいまでの食費しか残っていなかった。
 昨夜ホテルにチェックインした時、二泊分のデポジット(保証金)を現金で支払っており、わずかの現金しか残っていなかった。
 ホテルに帰り、トラベラーズ・チェックを両替できないかと聞いても、無理だと言われた。何度も、必死な形相で、しつこく迫ると、ようやく市内の銀行に電話をかけてくれたが、どこも休業日で、両替は出来ないとのこと。

ハミ(哈密)の街
ハミ(哈密)の街

 初めて味わう類の絶望感であった。手元にお金があるのに、それは使えない。日本円が、ただの紙切れとなっていた。なんとも表現のしようのない、絶望感に陥っていた。
 明日には、ここハミ(哈密)を発ちたかったので、フロントで「今晩の食事代もない」と訴えると、ホテルの支配人らしき人が出て来て、「現金の1万円札なら特別に両替をしよう」と言ってくれた。
 しかし、両替レートを見て驚いた。弱みに付け込んで、足元を見られるとは、このことかと、心底実感した。銀行で両替するより100元は損をする両替レートであった。
 ここに泊まっている客じゃないか、お金を節約して一人旅をしているんだ、と散々交渉して、最後に20元だけ上乗せしてもらい、ようやく人民元を手にすることが出来た。
 商品を買う時に値切るのとは違い、何としても、現金を確保したい旅行者の弱みに付け込むやり方に、悔しくて、どうしようもなかった。

ハミ(哈密)のモスク
ハミ(哈密)のモスク

→ 【5月4日 午後】絶望感を味わう〈ハミ〉


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