住職レター 2016

  2016.12月号
  平成七年(二十一年前)に住職を継いだ時、①文書伝道(寺報・年間パンフレット)による教化、②インターネット構築(ホームページ開設・メールでの問い合わせ)、③永代供養をする墓苑、この三つを十年以内に達成することを、目標に掲げました。①は直ぐにスタート、②は二年目に達成。残るは③だけ。しかし③が難航。何より、墓苑のコンセプトと全体像が明確にならず、場所も土地造成の問題が絡んで決らず・・・。十年以内に達成するという目標を、成就させることが出来ませんでした。
こんな私を見るに見かねて、助け舟を出して下さったのが、善教寺の近所にお住まいの、重光照久様。今年の春先、「田んぼを寄付するので、墓苑にしてはどうですか?」との、重光さんから大変有り難いお言葉を頂き、この度、善教寺墓苑(仮名)を開山することにしました。
『浄土と縁を結ぶ』(浄縁)をコンセプトに、美しい庭園をイメージした墓苑。・永代合葬墓エリア・和スタイル墓エリア・洋スタイル墓エリア・プレート墓エリア・ペット専用墓エリア、5つのエリアからなる、テーマパーク墓苑の誕生です。
詳細が決まりましたら、ご案内いたしますので、お楽しみに。オープン(開山)は、来春を予定しております。
赤丸印が善教寺墓苑開山予定地
  2016.11月号
 カープ日本シリーズをテレビ観戦しながら、この寺報を作成しております。こんな時期まで、野球を楽しめるとは思ってもいませんでした。嬉しいことですね~。
来年バージョンの善教寺法要案内パンフレットの、住職ごあいさつ欄にも書きましたが、今年はカープのお世話になるご縁が多かったです。
法事にお参りして、法話でカープの話をすると、熱心に耳を傾けて下さる。お経後の雑談時、カープの話題になると大盛り上がり。カープのお陰で、すべての関係が良好。寺と門徒のご縁を強固に結んで下さる、カープに感謝。この広島の地に、カープがあって良かったな~と、心から思う、今日この頃です。
善教寺も、カープのように、この地に善教寺があって良かったな~と思われるよう、日々精進して仏道を邁進していかなくてはと、改めて思いました。
さて冒頭に申し上げましたように、来年バージョンの善教寺法要案内パンフレットが完成しました。タイトルは『浄縁(じょうえん)』。浄土と縁を結ぶ…がコンセプト。表紙の写真は、境内地に生えるエノキです。お手元に届くのをお楽しみになさって下さいね。
境内地に生えるエノキ 樹高 約20m
胸高幹囲 262cm  根回り 435cm
  2016.10月号
 「カープ優勝、おめでとう!」 暑さ寒さも彼岸までと云われますが、今年はカープのお陰で、まだまだ熱い日が続きますよ~。
と云う訳で、カープ坊主のご紹介です。平成二十五年の親鸞聖人七五〇回忌の記念事業で、代々広島に住む我々が何をテーマにするべきかと考えた時、出て来たものが『カープ、原爆、お念仏』。そして誕生したのが、『カープ坊主』のシンボルマーク。
私たちの住むこの地域は、浄土真宗の勢力が強く、被爆者の九割は本願寺門徒とも言われています。そして原爆で壊滅的な打撃を受けた安芸門徒が、荒廃の中から私たちの町に生まれたプロ野球チームと親鸞聖人の念仏の教えを心の支えにして、奇跡的な復興を成し遂げました。
この安芸の国広島で、親鸞聖人七五〇回忌を迎えるに際し、「原爆とカープ」を避けてはならない・・・ということで、『カープ坊主の会』が結成されました。
『カープ坊主の会』、入会条件は僧籍(宗派は問わず)を持つカープファンということのみ。この会の代表者は、善福寺(広島市中区中島町)の藤 哲哉 住職さま。なんと、タイミングの良いことに、来月勤まります、護持会報恩講のご講師の先生です。
もしかしたら、ご法話のなかで、カープ優勝秘話が聴けるかも・・・。お楽しみに。
ご参拝、お待ちしております。

我が家のカープ坊主

  2016.9月号
  お盆が過ぎてもこの厳しい猛暑、夏バテのピークをお迎えでしょう。私は、このお盆、風邪をひいてしまいました。寝苦しい夜中、お腹を出して寝ていたのでしょうね。
さて先月、毎年夏休み恒例イベントであります、夏の子ども会を開催しました。午前中は、仏様の話、お昼はカレーライスを食べ、午後からは本堂内でゲームをしました。当然、スマホや携帯ゲームは禁止。ポケモンGOに興じるお友達も出ることなく、本堂内で思いっきり遊びました。
仏様の話を、ちゃんと覚えていてくれたらな~と思いますが、おそらくキレイさっぱり、忘れているでしょうね。でも、本堂で遊んだことは、記憶に残っているかな。お寺で過ごした夏の思い出が、いつの日か、良きご縁であったと思える日がくれば、有り難いです。


  2016.8月号
  梅雨が明けると、連日の猛暑。この暑さゆえの、身体のバテ気味度合、年齢増加に伴って増してきております。今年も、この暑さは辛く、もう既に夏バテ気味です。
この暑さが堪えるのは、人間だけではないようで、庫裏の玄関前にある、立派なつつじ、どうも様子が変です。いつもの感じではありません。茶色くなった葉っぱが多く、おそらく暑さにやられたのかと思います。剪定し、適切に管理してきましたが、つつじの生命力が弱ってきたのでしょうか。私が住職を継いでから、銀杏の木や五葉松、もみじ等々、立派な植木を守ることが出来ませんでした。植木の生命力が弱くなった(=寿命が尽きた)とはいえ、先人が大切に育ててきた植木を枯らしてしまう結果になり、先人に対して申し訳なく思います。話しは、この夏の暑さに戻りますが、納骨堂前にある手水鉢、うまく活用して、涼を感じられる様な演出が出来ないか、考え中です。植木も潤うと、なお良いのですが・・・。何か良い案がありましたら、教えてくださいね。
納骨堂前の手水鉢

庫裏玄関前のつつじ

  2016.7月号
  先日(五月二十九日)、「初参式」(善教寺仏教婦人会主催行事)を勤めました。『初参式』とは、お子さまの誕生後、初めて仏さまの前で手を合わせ、お祝いする仏教行事です。初参式ご参拝の皆さま、来賓出席された善教寺総代の皆さま、仏教婦人会役員の皆さま一緒に、本堂内阿弥陀如来さまの前で写真を撮りました。

さてこの時期の法要といえば、安居会法要(夏の法要)です。『安居(あんご)』とは、僧侶が一定期間一ヶ所に集まり、研鑚修養に励むことで、その由来は古代インド(仏教発祥の地)において、雨季に森などを徘徊して草木小蟲を害する事を防ぐために行われました。

この時期、法事でお参りすると、「雨が降ると直ぐに草が伸びて、毎日毎日、草刈りに追われるよね~」と話されます。お寺の周り、毎日どこかで、誰かが草刈りをされています。草刈りや農作業に忙しく、「寺参りどころじゃ、ないよ~」と言われるかもしれませんが、ちょっと手を休めて、法要へお参り下さいね。きっと良い骨休みになると思いますよ。

祝辞を述べて頂いた石原総代

初参式のご縁にあわれた方々

  2016.6月号
  毎年この時期に開催します「初参式」(善教寺仏教婦人会主催)。今年は五月二十九日に勤めます。「初参式」とは、お子さまの誕生後、初めて仏さまの前で手を合わせ、お祝いする行事です。

法事へお参りし、赤ちゃんがいらっしゃると、「初参式」へお誘いします。すると、返ってくる言葉が、「赤ちゃんは、お宮さんへお参りするだけかと思っていました・・・」と。確かに、お宮参りが一般的でありますが、寺の本堂へお参りされることも、忘れないで下さいね。
生まれたばかりのお子さまも、みるみるうちに体も心も成長していくことでしょう。その最初のときに、お子さまと共に親御さまも仏さまに手を合わせ、生まれたことの意味を確かめていただきたいと思います。

親として生きる出発点であり、赤ちゃんによって与えられた尊い仏縁であります。このように、仏縁を頂くご縁というのは、普通の生活においては、そんなに多くはありません。赤ちゃんによって与えられた尊い仏縁、大切になさって下さい。そして、お子さまが大きくなった時、「初参式」の話を語って頂けたらと思います。

 2010年初参式

2011年初参式

  2016.5月号
  先日(四月二十日)、善教寺仏教婦人会の皆さまと一緒に、本願寺広島別院へ参拝してきました。本堂にて、職員の方を導師に讃仏偈の読経。副輪番様より、ご法話の聴聞。その後、境内地へ移動し、被爆樹木であるソテツを見せて下さり、親鸞聖人像にまつわるエピソードを聞かせて下さいました。

門徒会館の横にひっそりとありました被爆納骨塔は、当時のまま残されているとのこと。この写真では見え難いですが、『還浄』と書かれた被爆納骨塔の傘の部分と横が、爆風で破壊されていました。

広島別院のシンボル共命鳥は、「すべてのいのちの尊さや、存在を大切にしあう社会」の教え。戦争をなくし、平和を願う安芸門徒のシンボルです。共命鳥の教え、永遠に守っていきたいと、強く思いました。

広島別院会館前


親鸞聖人像の前

広島別院境内地

広島別院本堂前

  2016.4月号
  春のお彼岸を迎え、気持ちの良い気候になってきました。昔から、暑さ寒さも彼岸まで…と、よく言ったものです。
 さてこの度、善教寺仏教婦人会主催で、本願寺広島別院参拝を企画いたしました。広島別院は、名称は聞いたことがあるけど行った事が無い…、と言う方が多いのではありませんか? 安芸教区の各種行事等の会場としての役割を担い、ご法座も毎月開催されています。一緒に、広島別院本堂へお参りし、讃仏偈をお勤めし、ご法話を聴聞しましょう。
 その広島別院のシンボルとして掲げているのが、共命鳥(グミョウチョウ)です。シンボルマーク、見られたことありますか?
 共命鳥は、一つの身体に、二つの頭をもつ鳥です。考え方、生き方が違っていても、その命はつながっているという、鳥に姿をかえられた仏さまの、み教えを表しています。
 「すべてのいのちの尊さや、存在を大切にしあう社会」のシンボルが共命鳥です。戦争をなくし、平和を願う安芸門徒のシンボルです。

妙好人 浅原才市さんを訪ねる参拝旅行(平成26年4月7日)


安芸門徒のシンボル共命鳥

 2016.3月号
暖冬だと思って安心しておりましたが、ここ数日の厳しい冷え込み。しかも、春がきたかと思わせるような陽気の日もあれば、またその翌日には極寒へ。十分ご自愛くださいね。さて、今年も二月十一日(建国記念の日)に、善教寺護持会総会を開催しました。今年の参加者は、各地区世話人代表四十四名。初めてご出席くださる方。久しぶりにお会いする方。懐かしいお方に出会えますと、とても嬉しいものです。しかしその逆に、昨年までご出席くださっていた方が、今年は来られなくなり…、お浄土から総会の様子、見て下さっているかな?と思うのですが、寂しいものです。

竹原の仁賀地区から、いつもご参加くださる方。今年は、その方の息子さんの奥様が来て下さいました。どうしたのかな?、体調が悪いのかな?、いろいろ心配して、直接お聞きしましたが、お元気とのこと。安心しました。

また来年、善教寺護持会総会で、お会いしましょうね。

 2016.2月号
穏やかな天気の正月でしたが、一月も半ばを過ぎた頃、急激に寒くなってきました。さて以前、この寺報に書きましたが、祖母の昔話に一番多かったのは、『勝如上人ご巡教』についての話です。昭和三十二年三月三十一日のこと。本願寺の門主が、地方へご巡教に出られ、その途中に立ち寄られるという、非常に名誉な事だったようです。祖母が当時を懐かしんで、嬉しそうに話をしてくれていました。

しかし残念な事に、当時の写真が残っておりません。おそらくどこか本堂の裏にでも保管されているのでしょうが、代替わりしたこともあり、探せずにおりました。

するとこの度、ご門徒の菅近朝枝様が、「住職さん、うちにあったよ。これをコピーして置いておきんさい!」と言って、貴重な写真を数枚、貸して下さいました。

 この集合写真は、本堂正面、山門の下です。正面中央にお座りの方が、勝如上人(本願寺門主)。前列左、袈裟・衣姿で立っているのが、私の祖父(廣幡龍雲)です。
皆さんが知っている方も、多くいらっしゃることでしょう。
 2016.1月号
お寺の鐘(梵鐘)の、ゴ~ンという音、最近、聴かれましたか? 町の方では、音がうるさく、鐘を撞くと苦情がくるのだとか…。その昔、私の祖母は、「御恩の鐘の音…」と言っておりました。ゴ~ンと御恩を掛けていたのでしょうね。それだけ、有り難いという思いを、私に伝えたかったのだと思います。

一般的には、鐘楼(しょうろう)と言われ、寺の境内にあり梵鐘を吊し、時を告げる施設でした。門徒さんは、親しみを込めて、鐘つき堂と呼ばれます。

時計の普及していない昔は、寺の鐘が時を告げておりました。30年くらい前まで、善教寺でも朝6時と夕方5時に、鐘を撞いていたようですが、今では法座の開式30分前と除夜の鐘撞きだけであります。せっかくの「御恩の鐘の音…」が、おとなしくなり(音なし)…、なんだか寂しいです。

大晦日の午後11時45分より、除夜の鐘を撞きますので、「御恩の鐘の音…」を、一緒に味わいましょう。

ちなみに、撞く回数の由来ですが、人間の煩悩の数が百八であるとか、四苦八苦、つまり四×九(四苦)と八×九(八苦)を足して百八になることから、四苦八苦を取り除くという意味があるようです。

【写真】善教寺の鐘楼堂(1741年 建立)